法人内研修「人権研修」を行いました。
2019年12月13日令和元年12月5日(木)、ワークランドそらにて人権研修を行い、法人職員約100名が参加しました。
今回の研修のテーマは「法人設立の歩み」とし、美熊野福祉会設立に携わった、当法人理事の莵原久視子氏をお迎えし、設立当初から在籍している職員・利用者さんとともにパネルディスカッション方式で行いました。
● 美熊野福祉会設立のきっかけ
美熊野福祉会が社会福祉法人として設立認可されたのが今から31年前、昭和62年11月ですが、その約2年前に設立準備会が発足しました。
その当時は障害者が入所する施設が少なく、また重度の障害だと受け入れてもらえず、親亡き後は障害をもつ子どもたちの生活はどうなるのだろうか、と不安を感じていた家族も多く、教師として障害児教育に携わっていた莵原理事が“このままではいけない”と施設づくりに取り組み始めました。
施設建設用地を探すところから始まり、資金を集めるために、各地の特産品を仕入れて売る・後援会を発足するなど多くの苦労があったとのことでした。
また、熊野川町に杉の郷の建設が決まった際には、地元住民からの反対運動があったそうで、当時は障害者に対して理解が進んでいなかったことが話の中からうかがえました。
重度の重複障害を受け入れる入所施設がその当時和歌山県内にはなかったということもあり、県の認可が早く下り、準備会の発足から、社会福祉法人としての認可、杉の郷開所まで約3年という短い期間で進んでいきました。
● 職員・利用者さんのお話
杉の郷開所時から在籍している職員が当時を振り返って、知識も経験も浅い職員が多く、利用者さんも慣れない施設生活で毎日大変だったと話していました。
また、杉の郷開所時に利用者として来られた、溝本和彦さんも当時の話を聞かせてくださり、両親と離れることの寂しさ、仲間たちとうまくやっていけるのかと初めは不安でよく泣いていたけど、一緒に入所した人の中に昔からの仲間がいて良かったと話していました。
職員と溝本さんが、支援員・利用者さんみんなで楽しく過ごしていた様子を懐かしそうに話す姿が印象的でした。
法人設立から31年が経ち、現在では当時のことを知らない職員がほぼ大半を占めています。
今回の研修を通して、なぜ美熊野福祉会が設立されたのか、どのような経緯があったのか、また設立に携わった方々の並々ならぬ努力があって今に至っていることを再確認することができました。
これからも初心を忘れずに、利用者さんやそのご家族、地域のために力を尽くしていきたいと思います。